シチュエーションボイス_寂しがりから、寂しがりへ

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「僕」「きみ」は読む人に合わせて変更してください


 この声は、きみに届いているのかな。

 ときどき、自分が透明になってしまったように感じるよ。
 ……なんだろう。不安とかじゃなくて、僕は、悲しいのかな。

 僕はきみのことを、少なからず大切に思っていて。
 それを伝える努力を、怠っているつもりもないのだけど。
 でも、きみ、どうしようもなく寂しそうな顔をして、泣くだろう。

 世界で独りきりだって、誰も自分を見てやしないって。

 きみのまわりには、思うようにならないことがたくさんあって……
 それがきみの目と耳をふさいでいるんだろう。
 だって、少なくとも僕は、きみのそばにいるつもりなんだよ。

 きみの周りの影も雑音も、僕がこの手で払いのけてやれたらって思うのに。
 払いのけられないとしても、せめて手をつないで一緒にいられたらと思うのに。
 実際のところ、僕はきみに、指一本だって触れることはできないんだ。

 言葉で、声で、どんなに「そばにいるよ」と伝えようとしても、溺れているきみには、僕の声を聞く余裕がない。
 ……そうだよ。溺れている人に、言葉を聞く余裕がないのは当然なんだ。

 だから、僕はかなしい。
 だって、最初から手が届かないのに、きみは声も届かないところに行ってしまう。
 きみが寂しいとき、僕も寂しいんだよ。

 ねえ、まだ僕の声は聞こえているかい。
 息はできている? 吐いて……吸って。そう。

 溺れる前にさ。
 あ、呑まれる、ってわかるときがあったら、僕のことを思い出してほしいんだ。

 きみが寂しいとき、僕も寂しいんだって。思い出して。
 どうしようもない、自分勝手な話なんだけどさ。
 きみは優しいから、きっとこういう言い方をしたら、僕のこと、助けてくれるだろう。

 ……お願いだから、一人で泣かないで。


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